30代がん闘病記

2014発病・入院 → 2016転移・再入院・離婚 → 2018再出発 → 2022再々発 → 2023入院

2023/3/4 退院(2クール目)

今日で2クール目の退院である。

心は晴れないが、外に出ると春らしい晴れやかさを感じる。

 

1週間ぶりに動かす車はエンジンの効きが悪くなっていた。最初はトルクが出ずに少し焦ったが、道路の脇に止めて、何回かふかし運転をすると復調した。

社会人になって中古で買ってからもう15年以上の相棒だ。僕と同様にもう限界に達しているのかもしれない。いつもよく頑張ってくれてありがとう。無理させてごめんね、と涙が出てくる。どちらが先に駆動を止めるのだろうか。

 

土曜日で混雑する幹線道路を慎重に運転して帰宅。食欲は湧かないが、とにかく甘いものが欲しい。チョコレートケーキを買って、貪るように食べる。

そして泥のように寝る。

2023/3/2 入院5日目(2クール目)

僕の頭はすっかり毛も抜けて禿げ上がっている。

あくまで僕の場合だが、抗がん剤を打っても、まつ毛・眉毛・腕毛などの、伸びる上限が決まっている毛については、抜け落ちない。

逆に言えば、髪の毛や髭などの放っておいては際限なく伸びる毛については、抜け落ちる。しかし、以前も書いたかもしれないが、その中でも抜ける毛は黒い毛ばかりで、覇気のない白髪は抜けずに頭皮にしがみついているのだ。

もう成長の余地のない毛だけが、抗がん剤で汚染された不毛地帯にしがみ付き、若く成長の可能性のある毛は、我先にと抜け落ちる。まるで今の日本の縮図ではなかろうか。と、ちょっと社会派っぽく締めてみた。

2023/3/1 入院4日目(2クール目)

抗がん剤の投与中は、一時的な体の変調がある。

非常に喉が渇く。なにかとうるさい大部屋で寝るのも体が慣れてきたが、喉の渇きには勝てず夜中に何度も目が覚めてしまう。5年前に放射線治療をした時の喉が灼け付くような渇きと似ていて、あの時の苦しさを思い出す。

無性に甘いものが欲しくなる。もともと味覚障害がある上に、抗がん剤でさらに味覚が鈍磨していることから、強烈な甘みが欲しくなる。認めたくはないが、がん細胞というものはエネルギーを欲するのだろう。

皮膚が荒れる。最近はPCやスマホの指紋認証が反応しない。

シャワーの着替えなどの片足立ちができなくなった。

 

肉体が弱ると精神も弱ってくる。思考が空転する。

もう厳しいのかなぁ。

2023/2/28 入院3日目(2クール目)

抗がん剤を打っているときに鼻水は出ないようだ。

よく考えれば鼻水が出るのだって、異物を体の外へ押し出そうとする一種の免疫作用なのだから、抗がん剤がそれだけ体全体を痛めつける薬であるという証左なのだろう。

いずれ効果が薄れて鼻水が大量に漏れてくる。自宅に帰ってもしばらくは鼻水が出なかったのは、空気清浄機の効果かと思っていたが残念だ。とはいえ、空気が清浄であるに越したことはないので、自宅での運用は続けようと思っている。