父方の祖母が先日亡くなった。
最近では認知症を患い、老衰で殆ど寝たきりの状態が続いていた。
祖母の子供は3人いた。長女である伯母は白血病で亡くなり、長男である僕の父親は胆管癌で亡くなっている。2人とも50代前半での死だった。子供2人を早くして病気で亡くし、祖母の認知症は急速に進行した。心労が認知症に影響を与えたのは間違いない。
やはり子供の最大の親不孝は親より先に死ぬことなのだろうな。
祖母は僕が「がん」になったことは知らない。「知らない」というか「認識」できていない。まあそれで良かったのだろうと思う。仮に認識できていたら、さらなる心労を与えて、認知症をさらに進行させただろうから。
僕はこの1年で余りに「死」を意識する体験をし過ぎて、死に対する恐怖がかなり薄れている。極言すると、僕は生と死の境目がもうかなり曖昧で、いつあちらに行っても仕方がないという気持ちを持っている。なので祖母の死に関しては、寿命を全うできて良かったというポジティブな感情すら持っており、正直悲しいという感情は最初は湧いてこなかった。90代での死去なので、大往生と言ってもいいだろう。
そんな気持ちを持ちつつも、棺桶の中の祖母の手を触ると、とてもすべすべだった。すると急に子供のときに祖母に手を握ってもらっていた時の記憶がよみがえってきて、胸が苦しくなり、不意に目の奥から涙が溢れてきた。治療中にどんなに辛くても涙なんか流さなかったのにな。
おばあちゃん、さようなら。
僕はまだ生きられるように努力します。