細かいお金の管理はさておき、多くの方はむしろ、大きなお金の管理について心配されるだろう。がんになれば、働けなくなり、経済的に破綻して…と漠然と不安を持っている人も多いようだ。先立つものは「金」だろうから、少し触れてみようかと思う。
以下、会社員の僕の例だが、意外と何とかなるものだ。
まず、がん治療では病院の支払いが高額になりがちだが、キャッシュフローが心配ならば、高額療養費制度の限度額認定を申請しておくとよいだろう。申請すると窓口での支払額の上限が8万程度で済むようになる。僕は前述の通り、ポイントが欲しいので申請せずにカード払いをしている。なお、会社によっては独自の上乗せとして、例えば3万円を上限として、支払額との差額をバックしてくれる制度もあったりする。
そして収入だが、会社の社会保険の傷病手当で収入の2/3が保障される。僕の場合は、さらに会社の共済による付加金があるので、トータルで働いていたときの収入に近い額を確保できている。これが大抵1.5年は貰えるので、当面は何とかなる。
ボーナスは当然出ないので、その分の収入は下がることになる。企業の管理職は大抵基本給は残業代を含むのでさほど高くないが、その分ボーナスを貰うことで辻褄を合わせているため、トータルでは3割程度の収入減にはなる。もっとも、傷病手当は非課税であるから、来年度の税金が抑えられることになり、実質的にはそちらで補完できるだろう(と思っているが、間違っているかもしれない)
上記の通り、病気になっても会社員だと大抵は社会保険で何とかなるので、多くの人は医療保険は不要だろう。上乗せで手厚い保障を用意している企業もあるため、まずは調べてみるとよいだろう。なお、個人事業主で貯蓄に不安がある場合だけは、医療保険は入っておいたほうがよいかもしれない。
一方、がん保険はどなたも入っておいたほうが良いだろう。発生確率が高くないため、医療保険ほど掛け金は高くはないが、保障は比較的手厚いという、僕が考える入るべき保険の概念に一致している。有名どころのアフラックは余りいい噂を聞かないので、余りCMを打っていない会社の保険が望ましい。住宅ローンを組む人なら、癌ならばローンが免責される団信に入っておくと、実質的にがん保険の役割を果たすだろう。
因みに、四大生命保険会社の保険に入るのは、いかなる場合でも論外である。
闘病中にお金の心配が全くないということは、本当に有難いことである。がんなど難病の悩みの大部分は(病気そのものはさておき)金銭関係と家族関係に尽きる。しかし、僕は離婚により家族関係の心配はないし、上記のように金銭的な問題もないため、治療に専念できるというわけだ。
日本という国は色々言われてはいるが、皆保険制度含め諸々の制度については本当に素晴らしい。「世界で最も成功した社会主義国」というジョークもあながち間違いではない。病気になれば日本という国の素晴らしさが嫌というほど分かるだろう。
僕は日本に生まれていなければ、とっくに医療費で破産して、そして野垂れ死んでいたはずだ。