30代がん闘病記

2014発病・入院・結婚 → 2016転移・再入院・離婚 → 2018再出発 → 2022再々発 → 2023入院→2025最終章

2026/5/1 サイバーナイフ4・5回目

サイバーナイフ全5回が終了した。

結果として、ゴールデンウィークの一部を治療に費やすことになったわけだが、今の僕には帰るべき実家もなければ、気軽に足を運ぶような場所もない。そう考えると、何をするでもなく持て余してしまう休みの一部を治療で埋められたことは、むしろ好都合だったとも言える。

もっとも、この治療が成功しようが失敗しようが、もはやどうでもいいことである。一部の腫瘍が消えたとしても、もう運命が向かう場所は変わらない。ただ、少しでもましな姿で棺桶に入れるかもしれない、その程度の気持ちで治療を受けていた。

もちろん、奇跡のようなことが起きてくれればとは思う。だが、そんなものが自分の人生に起こることはないのだと、これまで嫌というほど思い知らされてきた。

 

さて、明日からしばらく休みに入る。

元気だった頃の休日は、勉強をしたり、本を読んだりして過ごしていた。しかし今は、何かを学ぶことに全く意味を見いだせない。本を開いても、文字は目で追えているのに、上滑りして内容が頭の中に入ってこない。

結局、最近の休日は、YouTubeで動物たちの無邪気な動画を流しながら、わずかな癒しを得て時間をやり過ごしている。とはいえ、それを5日間も続けて過ごすとなると、それはそれでなかなか苦しいものがある。

春という季節は、新しい環境や出会いに胸を躍らせる時期だ。ゴールデンウィークに街を歩けば、どこか目的を持った人々の姿が目に入る。その希望に満ちた表情や、前を向いて進んでいく姿が、目的もなく、肉体的・精神的な苦しみに耐えてただ時間をやり過ごしている今の自分の惨めさを、より一層際立たせる。

 

ゴールデンウィーク突入前に、日経平均S&P500も過去最高値を更新した。僕の時間が止まったままであることなど意にも介さず、資産だけは淡々と増え続けていく。かつては誇りでもあったその数字も、今の僕にとっては、もはや何の意味も持たない数字の羅列でしかない。

この数字を積み上げることが、自分の価値を証明すること、家族の幸せを実現することだと信じてひた走ってきた。その先にあったのが今の自分なのだとしたら、僕の人生とは、いったい何だったのだろうか。

 

時間があると、思考はどこまでも空転し続ける。

だから、長期休みは嫌いだ。

 

2026/4/28 サイバーナイフ2・3回目

サイバーナイフの2回目、3回目が終わった。

治療で特筆すべきことは何もない。通院での治療を選んだものの、毎日それなりの距離を運転して往復するのは、色々と疲れるものだ。体力だけでなく、精神力や集中力も落ちているのかもしれない。

 

最近は、文章にも昔のような切れがないのを感じる。

本を読んだり、勉強をしたりといったインプットを全くしていないからだろう。仕事でも大したアウトプットをしていないので、文章力を鍛える機会自体がない。声が出ず人と話さないので感情を出す機会もなく、当意即妙な言葉が思い浮かばない。結果、最近の日記のような、ただ事実を羅列するだけの駄文になってしまう。

人間というのは、未来がないと分かると、本当に何もやる気が起きなくなるものらしい。新しいことを何もする気が起きない。過去だけを振り返り続け、死んだように生きる日々。どうせ何をやっても意味がないのだから、という感情に支配されている。

自分がこんな終わった人間になるとは、思ってもみなかった。

 

さて、明日の治療は休みだ。

残り2回を終えたら、ゴールデンウィーク後半はゆっくり休もう。

 

2026/4/24 サイバーナイフ1回目

サイバーナイフの初日だ。

今回は全5回の照射を予定している。

右頬のやや上に腫瘍があり、今では素人目にも分かるほどの大きさまで肥大化してしまっている。以前に書いた特殊な投薬治療も効果はなく、外科手術となると今の僕には身体的負担が大きすぎる。そのため、サイバーナイフを試みることになったというわけだ。

この腫瘍が消えたところで、別に僕の運命が変わるわけではない。それでも、見た目の問題もあるし、やっておいて損はないだろう。

 

この病院でサイバーナイフを受けるのは、これで3度目になる。そういえば、2度目の治療は母親が倒れる直前、まだ生きていた頃のことだ。この2年半で、あまりにも多くのものを失ってきたのだと、改めて思う。様々な感情が、静かに去来する。

これまで2回は入院での治療だったが、今回は通院を選んだ。入院には、移動の手間がないことや、任意保険の入院給付金が出るといったメリットもある。とはいえ、もう病室にいるだけで気が滅入ってしまい、精神的に耐えられそうにない。

そのため会社にはテレワークの許可を得て、ゴールデンウィークと重ねる形で通院治療にした。普段とは違う道を車で走るのも、ちょっとした気分転換になって悪くない。

 

さて、3度目ともなると、さすがに緊張もない。

相変わらず痛みはなく、20分ほどであっけなく終わった。

正直なところ、「もう終わったのか」という感覚だ。以前の日記にも書いたが、一時間半ほど全身を固定されるシンチグラフィ検査を何度も受けているせいで、あの苦痛が基準になってしまっているのだろう。

 

残り4回の照射。

とりあえず、やれるところまでやってみようと思う。

おそらく、これが人生最後の治療になるのだろうから。

 

2026/4/19 近況報告

少し間が空きましたが、生きております。

心配してくださった皆様、申し訳ありません。

 

さて、前回「終わりが見えてきた」と書きましたが、別にすぐに死ぬわけではなく、しばらくはダラダラと消化試合のように生き延びるのだと思います。

身体的負荷の少ない治療は続けていきますし、実際にGWに3回目のサイバーナイフを受ける予定です。陽子線から始まって、これで5回目の放射線です。表面積の小さい顔にこれほどまでに放射線を当てる余地があるのかと、自分でも驚くばかりです。

私個人の名誉のために一応言っておくと、私の顔が極端に大きいから放射線を当てる領域に余裕があるというわけではありません。むしろ私の顔は身長に比して、かなり小さい部類です。たまたま腫瘍が発症する場所が毎回少しずつズレているというだけです。

 

とは言え、相変わらず声帯の機能が働いていないため、声が出ず、食事も取りづらいという状況は変わっていません。このサイバーナイフをやったとしても変わるわけではないですが、喉の機能を対処療法的にでも回復できる手段があれば、医者と相談して進めていきたいと考えています。

短いですが、近況報告でした。

 

2026/4/1 残念ながら現実です

諦めることにしました。

主治医とも話して、身体に負担の掛かる無理な治療はせず、残り人生のQOLが少しでもマシになるような負荷の少ない治療だけを進めていきます。

もう少し先の話になると思いますが、時期が来たら福岡に戻って余生を過ごしながら、その時を待つつもりです。地元で死なないと葬式や後片付けが面倒になって、親戚に迷惑が掛かりますからね。

長い闘いでしたが、いよいよ終わりが見えてきました。

もう頑張らなくていいんです。

エイプリルフールの話だったら良かったのにね。