がん闘病記1(陽子線)
半年に一度のがんセンターでの定期検査を受けに地元に戻って来ている。結果から言えば、がんについては転移などはなかったものの、左の鼻腔に膿と思しき溜まりがあるとのことで、念のため1か月後の再検査となった。おそらく蓄膿だろうということで、そんな…
陽子線治療26日目。すなわち今日で終わり。 約100日という長きに渡った治療が終わったという喜びと同時に、言い知れぬ不安が心中を支配している。今までは陽子線治療に耐えきるという明確な目標があった。しかし、治療が終わってしまった以上、能動的にも受…
陽子線治療25日目。今日で点滴が終了。 12/1から続いた点滴も今日の生理食塩水の注入で終わりを告げた。 左腕はもう点滴の針の痕で一杯だ。しみじみ長かった。 始めて抗がん剤を投与されたときの不安など、色々な記憶が心中に去来する。 そして明日でいよい…
陽子線治療24日目。残すところ後2回。 昨日は副作用の影響で喉が焼けて、その痛みで中々眠ることができなかった。仕方がないので、今日は「オプソ」という「麻薬」を就寝前に服用することにした。先日意地でも「麻薬」は服用しないと宣言したが、喉の耐え難…
陽子線治療23日目。今日は6週目の最後の抗がん剤投与日。 まだ抗がん剤投与中というのに髪の毛が復活してきた。シスプラチンには脱毛作用は無いのだろうか。僕はシスプラチンとの相性が「良い」のだろうか?いや、効果が薄いということは「悪い」ということ…
陽子線治療22日目。装置は無事に復活していた。 後半ともなるといよいよ副作用との闘いとなる。頭部への陽子線照射で生じる主な副作用は… 皮膚炎・鼻炎・口内炎・結膜炎・頭痛 であり、大多数と同じように僕の場合も「皮膚炎」が顕著だ。 陽子線照射を開始し…
何年も変わらないその姿は時代遅れで、ダサイなんて馬鹿にしたときもあった。病気になって君がどれだけ必要な存在か分かったんだ。 気付いた時には遅かった。君はもうどこにもいなかった。どれだけ探しても君の姿はなかった。 でも今日やっと会えたんだ。運…
病院に戻ると、隣の患者がいなくなっていた!どうやら退院したらしい。何たる僥倖!(被害1・被害2・被害3) 二度と入院してくるんじゃねーぞ!(勿論、退院おめでとう的な意味です(笑))
陽子線治療22日目…の予定だったが、装置が故障した。 明日も修理らしい。ということで、久々に金・土と外泊することにした。自宅は引き払っているので、適当な大浴場付きのホテルを探して宿泊予定だ。もはや病院のベッドでは寝ていたくないし、病院食も摂り…
以前、血圧の薬アムロジピンを5.0mgにしたという話を書いたが、それでも余り効き目が見られないということで、いよいよ7.5mgにされてしまった。 こんなに投与する必要があるのか?と思いつつ服用すると…朝は90/70・昼は160/120・夜は120/90ともう無茶苦茶な…
陽子線治療20日目。いよいよ20日に到達し、残り6日。 先日の診断で分かった衝撃の事実。陽子線治療が終わっても、腫瘍が完全に根絶するまでは2年程掛かるということ。実際、鼻の穴から見える僕の腫瘍は、治療前から全く変化しておらず、むしろ重力に逆らう力…
陽子線治療19日目。顔の火傷もいよいよ酷いことになってきた。 先週は余り体調が良くなく、余りPCに向かうことができなかった。調子が戻って来たらまとめて書こうと思う。まだまだ精神の鍛錬が足りないようだ。 さて、先日入院してきた隣人のイビキに悩まさ…
陽子線治療を終え、シャワーを浴び戻ってくると、自分のベッドに女性が座っている。「すわ、間違ったか?」と一瞬思ったが、僕の妻だった。 今日は妻の誕生日だったのだ。有給を取って、わざわざ地元から遠路はるばる出てきてくれた。妻はこの手のサプライズ…
陽子線治療16日目。隣人のイビキが酷過ぎる。 以下、罵詈雑言で、気分を害する恐れあり。ご理解頂いた上でお読み頂きたい。
今日の陽子線治療中に恐怖体験を味わった。 治療台の上に固定されているときに、完全に平衡感覚が無くなって、自分の上下感覚が完全に失われてしまったのだ。背骨を中心として、遊園地のコーヒーカップの様な回転が襲ってくる。これはヤバい感覚だ。 スキュ…
最近は精神的に多少「落ちた」状態だ。今まで余り暗くならないように努めてきたつもりだが、やはり辛いのは辛いと素直に認めることにする。病気が治るのか?治ったとしてもこの先の将来はどうなるのだろうか?という不安は当然ある。 しかしそれに加えて、病…
陽子線治療13日目。今日でようやくの折り返し地点。 先日入院してきた隣人のイビキがうるさい。静かに寝ているかと思えば、いきなり叫ぶようなイビキを掻く。無呼吸症候群の爆発型だ。正直これは堪らない、史上最悪クラスだ。新しい人が入ってきて、騒音に悩…
昨日は陽子線治療に呼ばれないと思っていたら、祝日だった。道理で銀行に電話しても繋がらないはずだ。すっかり社会感覚が無くなっている自分に軽い戦慄と眩暈を覚えた。社会復帰できるかな…。 今日は無事に陽子線治療12回目 いよいよ副作用が酷くなってきた…
陽子線治療11日目。今日は週1回の抗がん剤投与日だ。 毒物を体に入れるのは余り気分のいいものではない。看護師さんがシスプラチンを点滴に繋ぐときは、ゴム手袋に安全メガネという完全防備をしている。そんなもんが身体に良いと思えるわけがない。「大丈夫…
陽子線治療10日目。ようやく2ケタに到達。 10回を超えると桁が上がるのは、人間の指が10本だから便宜上そうしただけであって、「10」という数自体に特段の意味はないのだ、と捻くれた僕は考える。ただ、タコ型の火星人ならば8回が区切りの良い回数となってし…
会社の方がお見舞いに来てくれた。 頂いたのがこちらのKATAMINOというパズル。3~12の区切りを変えることで、難易度を変えることができ、3~99歳までが対象年齢になるらしい。 僕が入院中に結婚したことを聞いていたようで、 「これだったら退院して、将来子…
昼食後のトイレから部屋に戻る途中の廊下。 ストレッチャーを引いた険しい顔の男性2人組とすれ違う。 見渡すといつの間にか全ての病室の扉が閉じられている。 この光景は既視感がある。僕の父親のときだ。 朝病棟にハリーコールが鳴り響いていた。 つまりは…
2日前に入院してきた隣の患者がテレビを見るときにイヤホンを付けない。 僕がそもそも殆どテレビを見ないことに加えて、頻繁にザッピングをするのでイライラが募るばかりだ。前回の場合は、もうすぐ退院と言うことで我慢も出来たが、今回は1ヵ月超の入院と言…
今日は節分だ。「豆」的なものが夕食に出た。デザートで「恵方巻き」的なものを食べた。こういうのは気分だけでもね。 治療の方だが、腫瘍を触ってみても特に小さくなっているという実感もない。鼻水の量も相変わらずどころか酷くなる一方だ。脳の髄液が直接…
病院の朝は早い。 そして寝起き早々に僕の頭はシャワールームの件で一杯になる。病棟には本来シャワールームは2つあるのだが、現在は1つが工事のために閉鎖されており、最近は残り1つを巡っての予約の争奪戦が朝から繰り広げられているのだ。なので、起床の6…
今日は陽子線治療を開始してから初めての外出。 外に出ると先日降った雪がまだ融けずに残っていた。病院の窓から見る降り注ぐ雪は、映画のスクリーンに飛び散る血飛沫と同じくらい現実感がないものだ。雪に触れると冷たく、自分の中の「今年東京で雪が降った…
時に1枚の写真は100の言葉よりも雄弁に語る。 飛んでけ300万!必殺カード払い! レシートの最後の「お大事に」が別の意味に見えてくる(笑)保険の支払いが下りるまでにキャッシュフローを健全化しなければ…。とはいってもロクな収入が無いので、当面は綱渡り…
陽子線治療の3日目。まだ火傷などの副作用は出ていない。 楽しみは治療中に流れている音楽を聴くことだけだ。僕としては是非とも「Underworld」を流して欲しい。名前からしての終末感が、あの治療室の仄暗い地の底に来た感じと非常にマッチしている。特に「M…
陽子線治療の2日目。今日のタイトルはIKKOの使う「それ」ではない。 治療中に役立つのは、もはや「聴覚」だけだという記事を書いた。しかし、放射線科の先生と話をしたとき、嗅神経芽細胞腫の患者間では2つの噂があることを伺った。 ①陽子線で患部を焼かれて…
今日は陽子線治療の初日だ。初日は何事も少し緊張する。 病室で待っていると看護師さんがベッドまで呼びに来てくれる。1階の陽子線治療室に向かうと、待ち時間も無くすぐに案内された。外来診察の様に順番待ちをしなくてよいのは非常に助かる。僕はあの待ち…