30代がん闘病記

2014発病・入院 → 2016転移・再入院・離婚 → 2018再出発 → 2022再々発 → 2023入院

10/15 担担麺

放射線終了から53日目。

ほんの少しであるが味覚も戻りつつあり、以前ほど食事で吐き気を催すこともなくなったので、最近ではカップラーメンを試すようになった。カップラーメンのような「下品」で濃い味の方が、味覚を感じやすいのではないかと思ってのことだ。

「カップラーメンなんか食べてないで、もっと健康にいいものを食べなさい。そもそもあなたががんになったのだって、云々…」と有り難い講釈をかましてくれる人もいる。健康・栄養とか以前に、こちとらそもそも味覚のせいで食えなくて困ってるのだ。健康的で味をしっかり感じるようなものが存在するのなら、とっくに食っとるわ!

がん患者は「善意による無意識の悪意」にしばしば晒される。

 

少し話が逸れてしまった。ということで、色々カップラーメンを試してみていたのだが、本日ついに理想の製品に辿りつくことができた。日清の担担麺だ。

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取り立てて味がするというわけではないが、違和感なく食べることができる。ラー油の辛みのおかげで、何となく担担麺を食べている気にさせてくれる。(「辛み」は「痛み」だから、味覚が無くなっても感じることができるのだ ← 味覚障害者あるある)

食べながら少し涙が出てきた。ありがたいことだ。

小さな希望を少しずつ集めよう。

10/12 どうぶつ

放射線終了から50日目。

色々あり、精神・肉体ともに最悪な状況だ。正直きつい。

この状況を乗り切れる人ってこの世にいるのだろうか。

残念ながら今の僕は乗り切れる気がしていない。

 

最近、野良猫を見つけると、手を差し出してみることにしている。

すると不思議なことに、相手をしてくれることが多い。

にゃーんと体をすり寄せて、手をペロペロなめてくれる。

どうぶつは よわっているひとに やさしいのだな

10/6 種の保存再び

放射線終了から44日目。

以前の入院前に保存手続きをした精子の保管期限が近づいてきた。2年毎に手続きをしなければ破棄されてしまうと説明を受けたのを、ブログを読み返して思い出したのだ。こういうときに記録を取っておくとそれなりに役に立つ。

 

本来は医者の診察を受けなければならないらしいが、電話で事情を説明すると便宜を図ってくれて、遠隔での手続きで済ますことができるようになった。さすがにこれだけのために東京に行くのはしんどいし、行けるのもいつになるのかも分からないので、融通を効かせてもらって助かった。21600円2年間の延長ができるとのこと。この辺の相場はよく分からないが、まあ妥当な金額なのかな?

しかし、当時保存をしたときは、まさか延長の手続きをすることになろうとは思いもしなかった。保存当時は陽子線治療前で、その2年後となると、死んでいるか、病気が回復しているかで、どちらにせよ保存を延長する必要もなくなると思っていたからだ。それが、まさかの再発になり、ここまで長引くことになろうとは。

 

当時の日記を読み返して、下らないことを書いてるな~と笑いながら、あれからもう2年近くの歳月が流れたのだと思うと、何とも言えない苦しい気持ちになった。僕はこの2年間でとてつもなく大きなものを失い続けた。

仕事のスキルは、もうどうしようもないくらい失われているだろう。マラソンを完走する体力なんかもう当然なくて、それどころか近所のコンビニに行くのも苦しいときがある。何より自分自身に対する自信を完全に失ってしまった。

当時の僕の面影を残すものは冷蔵庫の中の精子だけだ。そして、この2年間の間に失ったものの大きさに思いを馳せつつも、頑張って生きて行く他にないのだ。

10/4 鼻水

放射線終了から42日目。

僕は嗅神経芽細胞腫を発症してから今まで、2年近く鼻水に悩まされている。しかし、今が一番酷い。僕の鼻水は粘度が無いので気を抜いていると、一瞬で垂れ落ちてくる。そして最近はその量が尋常ではない。滝のように流れ落ちて来るのだ。

同じ嗅神経芽細胞腫に罹られた方のブログを見ても、僕のように尋常でなく酷い鼻水量に悩まされているという例は余りない。先生に相談しても、治っている兆候だから如何ともし難いと言われる。確かにアレルギーなどによる類の鼻水ではないので、医者としても鼻せんを薦めるしかないだろう。

 

因みに僕がいつも使っている鼻せんはこれ。

鼻ぽん (お母さん鼻血?) 大サイズ 80個入 ×3個セット

鼻ぽん (お母さん鼻血?) 大サイズ 80個入 ×3個セット

 

1日20個使うとすると、1日当たり100円。1か月だと3000円。

結構馬鹿にならん金額になる。鼻せんが家計を圧迫している。今の僕が日本で一番鼻せんを消費している自信がある。余りに消費するので、直接メーカで購入しようと試みたこともあるが、100箱単位なので断念した。 

 

鼻水の量が多いのは、最近体調が余り良くないのと関係あるかもしれないが、それ以外にも、仕事などで頭を使っていると、すぐに鼻せんの許容量を超え滴り落ちるくらいに鼻水が溢れ出してしまう。

また、重要な書類を書くときは本当に気を遣う。実際、今まで数回ほど書類に鼻水が垂れてダメにしたことがある。だから、書類を書くときは、両鼻にティッシュを丸めて圧縮したものを詰めて、絶対に漏れないようにして書く。人様には見せられない姿だ。

今回再入院する前に、復職して客先に行ったときも本当に苦労した。もう10分ほどですぐに鼻せんの許容量を超えてしまうのだが、失礼なので余り頻繁には差し替えられないので、鼻をすすって耐えるしかない。ポケットティッシュも1日5個は必要で、いっそ鞄の中に箱ティッシュを入れて出歩こうかと思ったほどだ。

いつ会っても鼻をかんでいる社会人なんか信用できないよね?僕もできない(笑)

 

こういう細かいことが地味に精神を疲弊させていくのだ。

9/30 MRI

放射線終了から38日目。

今日は九州がんセンターMRIだ。

今までは東京で受けていたが、この状態では行く体力・気力も無いので、当面は福岡でMRIを受けさせてもらえることになっている。MRIの結果は良好で、僕の腫瘍本体は確実に縮小しつつある。今後の問題は、今回の様にがんが身体の各所に散らばっていないかどうかと言うことだ。

ということで、次回よりCTを上半身全体に掛けてもらえることになった。僕がお願いしようとしていたことを、先生が先んじて提案してくれた。本当に頼りになる先生だ。

 

肩のしこりは特に気にする必要もなさそう。やはりリンパ切除のときに肩の神経にダメージを与えてしまっているので、その影響が大きいようだ。これに関しては、ひたすら動かしてリハビリするしかないらしい。

唾液の量は比較的早いレベルで回復している模様。この調子なら2~3ヵ月で味覚も戻るだろうとのこと。と言うことは味覚が戻るまであと1~2ヵ月か。味覚を失ってから既に2ヵ月半経っている。最初の頃の喪失の苦痛に比べれば、今では慣れてしまってどうと言うことは無い。残り期間も何とか乗り切って行けるはずだ。

 

最後に転移の可能性を先生に訊いたところ、やはり低い確率だけども有り得るとの回答。まぁそうとしか返せないよね。今まで色んな先生方にがんを見つけてもらってきたので、この後にがんの転移が見つかっても、もう仕方がないや…としか僕は思わないだろう。

何事も無く生きて老衰で死ぬって、とてつもない偉業なのだ。今の僕にとっては、サザエさんドラゴンボールよりもファンタジーなアニメだ。

 

MRI=もっと・楽して・生きよう」の略だったらいいのにね。