30代がん闘病記

2014発病・入院 → 2016転移・再入院・離婚 → 2018再出発 → 2022再々発 → 2023入院

7/5 Regret

人間失格」よろしく恥の多い人生を送ってきたが、別に何かに「後悔」しているわけではない(笑)ブログの性質上、病気のことが殆どになってしまうが、たまには病気以外のことも書きたくなった。

僕がこの世で一番好きなNewOrderというバンド。

その中でも一番好きな曲が「Regret」という曲だ。

 

I would like a place I could call my own
Have a conversation on the telephone
Wake up every day that would be a start
I would not complain of my wounded heart

 

初めて聞いたときその余りに美しいメロディーと韻に衝撃を受けた。

多分その日は100回くらい聞いた。

今でも1日1回は聞く。何回聞いても飽きない。

勿論入院中も毎日聞いていた。間違いなく僕の人生の一曲だ。

音楽の趣味が近い人とは経験的に上手くやって行ける。

皆の人生の一曲って何だろう。

6/29 あれから1年

リンパ郭清・放射線の入院からもう一年経ったのだ。

 

この時は離婚直前と2回目の入院いうこともあり、精神的にも結構参っていたのだが、思ったよりもしっかりとしたことを書いてるなというのが率直な印象。元妻のことや離婚の可能性について全然言及していないが、多分それどころじゃなかったんだろうと思う。実際、陽子線で入院した時よりも、かなり肉体的・精神的にはきつかった。

まぁ結局離婚もしてしまったけど、結果的に負担が減って悪いことばかりではなかったし、落ちるところまで落ちて、この1年少しずつ上り調子にできたのではないかと思う。まだ味覚も戻ってないし、色々しんどいことも多いけど、今年は何とかいい年にしていきたい。

6/28 30代

最近ブログへのアクセス数が増えている。恐らく30代のがん患者ということで、小林麻央さんの件で検索される方が多いのだろう。

僕は長期間「死」と向き合っているので、「死」に対して人よりも耐性があると思う。昨年、祖母が亡くなったときも、ほぼ天寿を全うした上での死だったので、むしろポジティブに捉えることができたくらいだ。ただ、小林麻央さんが亡くなったとき、今までで余り感じたことのないような悲しい気持ちになった。

 

なんというか、何度も見た「火垂るの墓」を見るときのような、悲しい結末が待っているのは分かっているのだけど、一緒に見ている人はあえて知らないふりをして、明るい描写もあるのだけど、それが一層その後直面する悲しみを際立たせていて、そして、やはり予想通りの結末は免れないのだけど、それでも結末を知ってしまうと胸が締め付けられる、そんな感じに近いかも知れない。

そして、僕も一時はそのスクリーンの中にいたわけで、彼女と年齢も近いこともあり、今回は苦しみがダイレクトに伝わってきてしまう。考えても無駄なのだけど、自分が生きている意味を何度も自問自答してしまう。

6/13 文系理系

最近仕事で大量のデータを扱う作業をしている。数万個のデータファイルを処理しなければならず、これは手動ではやってられんということで、久しぶりにマクロ(プログラム)を書くことにした。普通にやれば数日かかるような仕事が、数分放置しておくだけで終わるのだから便利なもんだ。

しかし、マクロを書くのは 久しぶりで、どうも度々処理がおかしくなる。俺のマクロは完璧だ!エクセルの処理が間違っている!と思っても、やはり人間様の方が間違っていて、修正するときちんとした出力を得ることができる。上手く行かないときは自分が確実に間違っているので、ある意味やりやすい作業ではある。

そういえば僕はこういう明確性が好きで理系を選択して、大学でも工学部に進んだんだったなぁと思い返した。

 

文系と理系を互いに揶揄するネット上のジョークで、

文系は作者の気持ちでも考えてろよ

理系は点Pと点Qが出会うまでの時間でも求めてろよ

というのがあって、なるほどなぁと少し気に入っている。「文系=感情」「理系=計算」というありがちなステレオタイプだ。

高校時代の僕は浅はかな考えでもって、まさにこのように考えていて、文系科目が大嫌いだった。しかし、社会に出て色々感じて、文系と理系の違いというのは、論理へのアプローチが言語的か記号的かの違いだけなのだと今では思っている。そして、僕は理系バカにならないように、文系的な素養を身に付けるように努力してきたつもりだ。ただ、人の気持ちを読むというのだけは僕の性格上得意ではない。

 

僕は「元妻の気持ち」をきちんと考えることができたのだろうかと今でも時々思う。病気という特殊な状況の下でも、お互いにお互いのことを少しでも慮ることができたならば、結婚してからすれ違い続けた「2つの点」も交わることができたのかもしれない。

今ではもうどうしようもない話だ。

6/2 ロブスター

そういえば、「放射線終了から〇〇日」という記載を忘れていた。でも、もう面倒になってきたので書かないことにする。味覚自体はまだ5割程度しか戻ってきておらず、リンパ郭清の痕も違和感があり、前回の入院の影響は大いにまだ残っているのだけど、いつまでも縛られているのも馬鹿らしくなってきたのだ。

ということで、リンパ郭清・放射線も克服!おめでとう!

 

と話は全く変わって、ロブスターについて 。

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 【AFP=時事】フランス西部ブレスト(Brest)のオセアノポリス(Oceanopolis)水族館で撮影された青いロブスター。クルスタシアニンと呼ばれる青い色素が過剰に生み出される遺伝子異常によるもので、科学者らによれば極めて珍しく、ロブスター200万~300万匹に1匹の割合で生じるという。【翻訳編集】 AFPBB News

https://dot.asahi.com/afp/2017042000007.html

 

このニュースを見たとき、珍しい話もあるもんだと流しそうになったが、何か違和感を覚える。そう僕の病気・嗅神経芽細胞腫の発生確率(250万人に1人)とほとんど同じだったのだ。まさかロブスターによって自らの病気の珍しさを再認識することになるとは。時代が時代なら僕も博物館に展示されていたのかもしれない。

 

今日から僕は「青いロブスター」として生きて行くことに決めた。

悪い気分ではない。

 

【おまけ】アメリカザリガニにサバをあげると青くなる(96へえ