30代がん闘病記

2014発病・入院 → 2016転移・再入院・離婚 → 2018再出発 → 2022再々発 → 2023入院

3/15 退院前夜

今日は退院前夜。明日で12/1から続いた100日近くの病院生活が終わりを告げる。看護師さん達には大変良くして頂き、苦しいながらも快適な入院生活を送ることができた。

色々お世話になったので是非とも「お礼」をしたかったのだが、最近の病院ではそのような「差し入れ」は全て断っているらしい。精一杯の感謝の意を示すために、お世話になった看護師さんにはできる範囲で一人一人挨拶をして回った。

 

さて、退院前日の僕の心境はと言えば、「喜び」よりも「不安」が大きいのが正直なところだ。時々できる範囲で外出はしていたが、これから本格的に外界に出るかと思うと、多少不安が残る。

 映画「ショーシャンクの空に」の登場人物に、50年を刑務所で過ごしてきたブルックスという囚人がいる。彼に仮釈放処分が許可されるのだが、余りに長い年月に渡って塀の中にいたため、刑務所に適応してしまい、彼は外に出るのが怖いのだと言う。結局、彼は娑婆の暮らしに適応することができずに自殺してしまう。

映画ではこの状態を「hospitalized」と表現していた。即ち、閉鎖された施設での生活に慣れてしまい、一般の世界に適応できなくなってしまうということだ。そして、僕は正に「hospital」にいたわけで、100日足らずとは言え、「hospitalized」されていることは間違いない。以前日記で書いたところの「かくりよ」に僕はずっと隔離されていたのだ。

 

外に出てしまえば、病院着も・点滴台も・リストバンドも何も、僕が「がん患者」だと示すものは無くなってしまう。ただの体調が少し悪そうな鈍い男に過ぎないのだ。そして、このような特別扱いを望んでいるように、僕自身が「がん患者」として扱われることに慣れきってしまっていることも「自立」の面からは問題がある。

しばらくは四苦八苦しなが日常に慣れていくしかないな。