投薬から3日目。
まだ身体は重い。食欲も湧かない。
病棟の売店に「アイスの実」を売っているのを発見した。これは非常に食べやすく、自宅でも食欲がないときによく食べているものだ。喜び勇み、浅ましくも、数個を買い込んでおいた。しばらくは食事の主戦力になりそうだ。もっとも、アイスの買い溜めができるのも、僕が冷蔵庫のある個室に入れているからであるが、何と大部屋には冷蔵庫が無い。
普通の病院ならば大部屋であっても、個人のテレビの下あたりに小さな冷蔵庫があって、テレビ同様に時間貸しで使用できるようになっているものだが、この病院は、ホールにあるコインロッカーのような冷蔵庫をレンタルして使用するしかない。場所によっては、冷蔵庫まで1分以上かかってしまう病室もあるし、弱っている人は、そもそも動けなくて利用することすらできないだろう。
夜中に抗がん剤の副作用で喉がカラカラになって目が醒めて、キンキンに冷えたお茶を飲み干したいのに、目の前の机の上にある、ぬるいペットボトルのお茶を飲まなくてはならないときの絶望感と来たらない。
この病棟を企画したヤツは、つくづく患者の気持ちが分かっていない。