退院日である。
しかし、血圧が極めて低く、立ち眩みがする。
今回変則的な日程となり、退院がいつもより遅くなったことで明らかになったが、実は今日が副作用のピークだったのだ。今までは自宅で療養している日なので、単に気付かなかっただけということだろう。全くおめでたい男だ。
手足に余り力が入らず、全身が弛緩する感覚がする。
荷物を持つのも一苦労だ。
一歩一歩、気を確かに持ちながら、コインパーキングまで歩みを進める。
しばらく車の中で休息を取って、エンジンをかけると無事に掛かってくれた。車よりも僕のほうが先にお釈迦になりそうだな、と思わず苦笑いをしてしまう。
車の運転をしていても頭と身体が分離しているようで、感覚がふわふわする。頭からの指示が腕にきちんと伝わっているかよく分からない。適度に休憩を挟みつつ、スピードをいつもよりかなり落として、慎重に慎重に運転しながら何とか自宅に到着した。無事に帰宅できて本当に安堵した。
自宅では階段を上るのも苦しい。一段一段、這うように進む。
その後、意識を失うように布団に倒れこみ、まさに死ぬように寝た。
今までで一番きつい日であった。