このような状況になると、昔を色々振り返るようになる。数々の「あの時こうしていればどうなっただろう」が際限なく頭の中で繰り返される。その中でも、離婚をせずに家庭を持てていたらどうなっていただろうかという「IF」は、頭から離れることが無い。
お人好しかもしれないが、僕は元妻のことは今ではそんなに悪い印象は持っていない。一時は外野より知りたくもない情報を吹き込まれて、「憎」の感情に傾いたこともあったが、今ではフラットな感情を持てている。
当時の状況が特殊すぎるので、離婚もやむなしであったように思う。実際のところ、僕は離婚により、経済的・精神的負担が減り、自由に動けるようになって選択肢が増え、人生を再軌道に乗せることができたので、決して悪い選択であったとは思ってはいない。
元妻にとっても、当時は未来がなかった僕と別れるのは合理的な選択であったはずだ。とは言え苦しい決断をさせてしまったのは事実で、申し訳無い思いが強くある。元妻には新しい伴侶でも見つけて、幸せになっていて欲しいと切に願っている。
さて、その短かった結婚生活であるが、元妻は黒パグを飼っていたので、僕らの新居にはパグがいた。それまでパグは不細工な犬という印象しかなかったが、一緒に暮らすと何とも愛嬌のある犬で、しばらく経つと僕はすっかりパグ好きになってしまった。僕の結婚生活にも一時とはいえ幸せな時期はあったわけで、僕にとってパグは幸せの象徴のような存在になっている。
もし元気になったら、パグでも飼ってのんびり暮らしたいと思っていたが、どうやらその夢は叶えるのが難しいのかもしれない。
せめて来世は、パグか猫に生まれ変わり、気ままにのんびり暮らしたいものだ。