そういえば個室に移動できた。
1日1万円程度かかるが、精神の安静を保てるなら安いものである。
抗がん剤を打つと、水を大量に飲むためトイレに頻繁に行ったり、一方で便が出ず長期間トイレを占有したりするが、そういったことも気にする必要がなくなる。感染を気にせず便座に座り、ウォシュレットを使うこともできる。シャワーも好きな時間に浴びることができる。空調を自分でコントロールできるのもよい。キーボードの打鍵音を気にすることもなく、電話も室内で自由にできる。周囲を気にせず音楽を流せるのは心地いいものだ。
金は大丈夫か?とご心配の方もいるかもしれないが、まず保険が降りる。また、資産も安定している。株の配当金もあるため、不労所得もそれなりにある。無職になった時の備えも万全である。もっとも、無職になる前に死ぬ可能性も高いのであるが。
こうやって金の話をするのは下世話と思われる方も居るかもしれないが、世の中のほとんどの悩みは金である。金の悩みがなければ、少なくとも精神の安静につながるのだから、闘病とは切っても切り離せない話なのだ。僕は個室に入院しながらそう思う。