車をぶつけてしまった。
夜に飲食店の駐車場にバックで停車しようとしてのことだ。駐車場にほとんど空きがなかったので、端の無理やり作ったような駐車スペースに入れようとしたが、僕の車も隣の車も3ナンバーで互いの余裕スペースが少なかった上に、周囲が暗く相手の黒い車がよく見えていなかった。
端の暗い場所で防犯カメラもなさそうだったので、正直なところ逃げてもバレなそうではあった。実際、この状況だと逃げる人も何割かはいるだろう。そして僕も、そんな邪な考えが一瞬頭をよぎったのは否定しない。
しかし、残り短い人生、この世に後ろめたいことを残して死にたくないし、何よりあの世で母親に顔向けできまい。他人の身体に危害を加えたわけでもなし、金銭で解決できるのだから、非を認めて堂々と対応すればいいのだ。ということで、店員さんに経緯を報告して、ぶつけた車のナンバーの持ち主を呼び出してもらった。
一応僕個人の名誉のために言っておくと、僕自身がどのような状況であっても、正直に報告していたのは間違いない。「不誠実に生きる」母親が一番嫌うことであった。僕も母親の倫理観・人生観の影響を強く受けているのだ。
さて、ぶつけた相手がいかつい車だったので、場所柄持ち主がその筋の人だったらどうしようかと心配しながら待っていたのだが、出てきたのは真っ当な社会人であり、杞憂で済んだ。不幸中の幸いであろう。警察を呼び現場検証をした後、電話番号を交換し、今後は保険会社を通じてやりとりすることで合意できた。
僕の車の方には余り傷が無いのだが、相手の車にはそれなりのダメージがあったようだ。数万では済まなそうなので、人生で初めて自動車保険を使うことになりそうだ。僕は今まで自損以外の事故は起こしたことが無かったので、それなりにショックであるが、これも「対人」でなかっただけ不幸中の幸いであろう。
実は遡ること前日、MRIの結果としてガンのさらなる転移の可能性を担当医から示唆されていた(詳細については別の日記で書きたい)。このショックで余り運転に集中できていなかったのが大きいだろう。車をぶつけたのは僕の100%の過失なので言い訳の仕様もないが、悪いことは重なるものだ。
しかし、今回は人相手の事故でなくて本当に良かった。先の短い人間が、他人の生命を脅かすなどあってはならないことだ。今後は一層注意して生きよう。